がん特集ページ
性別に関係なく大腸がんの患者さんは増えています
女性は乳がんを恐れて、お乳にしこりができてないかについては非常に気にかけられている方が多いことと思います。しかし、女性ががんで死亡する場合は、意外にも大腸がんが一番多いのです。大腸がんになりやすい部位は肛門に近い大腸の部分の直腸やS状結腸です。その他、頻度に差はありますが、盲腸も含めてどこの大腸でもがんができます。ちなみに男性は女性よりがんが原因で死ぬ人が多く、男性ではこのがん死の中で大腸がんは肺がん、胃がんについで第3位となっております。
大腸がんで苦しむ前に大腸ファイバーでポリープのうちに切除しましょう
大腸がんは巨大になると便の通路がふさがるため腸閉塞を起こすことがあります。腸閉塞になるとお腹の痛みが強烈となり、吐いたりします。腸閉塞を起こすほどではないが、数センチくらいに大きくなった場合は便に血が混じるとか、便が細くなるとか、大便をした後でも便が出きっていない感じがするとか、便秘と下痢を繰り返すなどの症状がでることがあります。さらに小さい場合は全く症状のないことも多いのです。便に血が混じるとか、お腹に痛みや違和感がある場合は当院の消化器内科をぜひ受診してください。大腸がんが疑われる場合は大腸ファイバーをさせていただきます。単なる痔で便に血がついていることもありますが、痔と自分で思い込んでいて、実は大腸がんであったということもありますので必ず受診して下さい。大腸がんに最も多いのは数ミリの良性ポリープから徐々にがん化してゆくタイプです。数ミリのポリープであれば、大腸ファイバーで見ながら切除することで、大腸がんになる前の芽を摘むことができます。
大腸がんは進行がんでも腹腔鏡手術が可能な場合が多いです
胃がんは原則的には早期がんに対して腹腔鏡手術をしますが、大腸がんは進行がんであっても周囲の臓器にがんが浸食していない状態であれば腹腔鏡で切除できることが多いです。腹腔鏡で手術をした場合は、お腹を20 cmほど開ける従来の手術をした場合に比べて、術後の痛みが少なく、退院までの期間が短縮されます。当院では日本内視鏡外科学会技術認定医や消化器外科学会指導医により大腸がんの腹腔鏡手術を数多く行っております。
直腸がんでもできる限り人工肛門を作らずに済むようにしております
肛門から2〜3センチしか離れていないような直腸がんでは人工肛門を作らないと、術後に便が自然に漏れてしまう状態になるので人工肛門は避けられません。しかし、肛門にかなり近いがんでも、がんが再発しないように注意しながら、人工肛門をつくらずに済むように最大限の努力をしております。手術で肛門と腸をつないだところが十分強くないと思われたときは一時的な人工肛門を小腸で作りますが、数か月後に人工肛門をなくす手術をしております。
手術で取りきれた大腸がんでも、リンパ節転移が認められた場合などでは術後に点滴による抗がん剤治療が必要です
大腸がんは手術で取りきれた場合でも、リンパ節転移が1つでもあればステージ3になり、再発する可能性が高くなるため、術後にいくつかの抗がん剤を組み合わせて行う抗がん剤治療が必要です。その人のがん細胞がもつ特殊な物質(K-rasなど)の有無を病理学的に調べて使う抗がん剤の種類を決めることが必要で、現在の大腸がん治療は非常に複雑になっております。大腸癌治療ガイドラインによって使う抗がん剤の組み合わせがいく種類も決められております。当院では日本大腸肛門学会専門医や日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医が抗がん剤治療の選択を行い、最適な治療を実施しております。 なお、肝転移や肺転移(血行性転移)のある大腸がんに対しても、腹腔鏡手術で大腸がんを切り取った後で、抗がん剤治療を行っております。大腸がんの肝転移については手術で取り切れる場合(切除可能の場合)は当院で肝切除術をしております。